買取の確定申告の基本!知っておきたい税金のポイント
不用品を買取に出してお金に換えるという方法は、多くの人が利用しているでしょう。しかし、買取によって得たお金には税金がかかることがあります。
買取による所得はどのように確定申告するのか、確定申告が必要な場合と必要でない場合はどう区別するのか、確定申告の基本的な流れと必要な書類は何か、買取金額の税金計算と申告方法はどうするのかなど、買取と確定申告に関する基本的な知識をこの記事で解説します。
買取による所得と確定申告の関係性
買取によって得た所得は、一般的に「雑所得」という種類の所得に分類されます。雑所得とは、給与所得や不動産所得、事業所得など9種類の所得に該当しない所得を指します。例えば、賞金や慰謝料、預金利息なども雑所得にあたります。
雑所得には年間20万円以下の非課税枠があります。つまり、買取によって得た年間の収入が20万円以下であれば、確定申告や納税の必要はありません。しかし、20万円を超える場合は確定申告が必要となります。
ただし、買取によって得た所得が「生活用動産」の売却によるものであれば、非課税とされる場合があります。
「生活用動産」とは、日常生活に必要とされる財産のことで、不動産以外の物を指します。例えば、衣類やカバンや靴や家具や家電や雑貨や書籍やゲームなどが生活用動産にあたります。
生活用動産の売却による所得が非課税となる条件は以下の通りです。
- 個人が自分自身や家族のために使用していたものであること
- 営利目的ではなく生活必需品を整理する目的で売却したこと
- 売却した物品が宝石や貴金属や骨董品や書画や美術品などではなく、一般的な生活用品であること
- 売却した物品1つあたりの売却益(売却価格から購入価格を引いたもの)が30万円以下であること
これらの条件を満たす場合は、年間20万円を超えても確定申告や納税の必要はありません。
確定申告の基本的な流れと必要な書類
買取によって得た年間収入が20万円を超えており、かつ生活用動産以外の物品を売却した場合は、確定申告が必要です。確定申告とは、自分が1年間にどれだけ収入を得てどれだけ税金を払うべきかを国税庁に報告することです。
確定申告する際に必要な書類は以下の通りです。
- 確定申告書(A4サイズ)
- 雑所得計算表(A4サイズ)
- 収入証明書(レシートや領収書など)
- 住民票(住民票コードまたはマイナンバーカード)
- 振込用紙(納税額がある場合)
確定申告書や雑所得計算表は国税庁ホームページからダウンロードできます。また、e-Tax(国税庁ホームページ)からインターネットで確定申告することも可能です。
確定申告する期間は毎年2月16日から3月15日までです。この期間内に最寄りの税務署またはe-Taxで提出しましょう。提出後、納税額または還付額が通知されます。
買取金額の税金計算と申告方法
買取金額からどれだけ税金が引かれるか気になる方も多いでしょう。ここでは、買取金額から雑所得を計算し、その雑所得から税金を計算する方法を解説します。
まず、買取金額から雑所得を計算する方法ですが、以下の式で求められます。
雑所得 = 買取金額 - 譲渡原価 - 必要経費
譲渡原価とは、売却した物品を購入した際に支払った金額です。レシートや領収書などで証明できる場合はその金額を控除できます。証明できない場合は0円とみなされます。
必要経費とは、売却するために支払った送料や手数料などです。これらもレシートや領収書などで証明できれば控除できます。
例えば、10万円で購入したブランドバッグを5万円で買取してもらった場合、
雑所得 = 5万円 - 10万円 - 0円 = -5万円
となります。この場合は損失が発生しているため雑所得は0円とみなされます。
次に、雑所得から税金を計算する方法ですが、以下の式で求められます。
納税額 = 雑所得 × 税率 - 控除額
税率とは自分の総収入(給与所得や事業所得など)に応じて決まる割合です。2022年度分(2023年分)では以下の表の通りです。
控除額とは、雑所得に対して適用される特別控除のことです。雑所得の特別控除は、雑所得の金額に応じて以下の表の通りです。
例えば、雑所得が50万円だった場合、
納税額 = 50万円 × 5% - (50万円 × 1/2) = -20万円
となります。この場合は納税額がマイナスになっているため、納税の必要はありません。また、還付もされません。
確定申告する際には、雑所得計算表に買取金額や譲渡原価や必要経費や雑所得や納税額などを記入し、確定申告書に添付して提出します。
以上が買取と確定申告の基本についてです。買取によって得たお金がどれだけ課税されるかを知ることで、買取を利用する際に安心してお金を受け取ることができるでしょう。
買取における特殊な場合と確定申告
前回は、買取による所得と確定申告の基本について解説しました。買取によって得たお金がどのように課税されるかを知ることで、買取を利用する際に安心してお金を受け取ることができるでしょう。
しかし、買取には様々なケースがあります。例えば、買取収入が源泉徴収されている場合や、買取による特例や控除を活用できる場合や、海外からの買取や非居住者の場合などです。これらのケースでは、確定申告の方法や注意点が異なります。
この記事では、買取における特殊な場合と確定申告について解説します。以下の3つの小見出しに沿って、それぞれのケースでの確定申告の手続きやポイントを紹介します。
買取収入の源泉徴収と確定申告の手続き
買取収入とは、不用品や中古品を買取業者やオークションサイトなどに売却して得たお金のことです。通常は、買取収入は雑所得として確定申告する必要がありますが、年間20万円以下であれば非課税となります。
しかし、買取収入が源泉徴収されている場合は、確定申告が必要になります。源泉徴収とは、支払いをする側が支払いを受ける側から一定の税金を差し引いて国税庁に納める仕組みです。例えば、給与所得や配当所得などは源泉徴収されます。
買取収入が源泉徴収されるケースとしては、以下のようなものがあります。
これらのケースでは、支払いをする側が支払額から10.21%(令和4年度分)の税金を差し引いて支払います。その際、支払いをする側は支払いを受ける側に「支払調書」という書類を発行します。この書類には、支払額や源泉徴収額などが記載されています。
確定申告する際には、「支払調書」をもとに「雑所得計算表」に必要事項を記入し、「確定申告書」に添付して提出します。その際、「雑所得計算表」には源泉徴収額も記入します。これは、すでに納められた税金として計算されるためです。
例えば、賞金100万円を受け取った場合、
雑所得 = 100万円 - 0円 - 0円 = 100万円
納税額 = 100万円 × 10% - (100万円 × 1/10 + 41.25万円) = -31.25万円
源泉徴収額 = 100万円 × 10.21% = 10.21万円
還付額 = -31.25万円 + 10.21万円 = -20.79万円
となります。この場合は納税額がマイナスになっているため、納税の必要はありません。また、源泉徴収額分だけ還付されます。
買取による特例や控除の活用方法
買取によって得た所得は雑所得として課税されますが、一部のケースでは特例や控除が適用されて非課税となったり納税額が減ったりすることがあります。ここでは、買取による特例や控除の活用方法について紹介します。
生活用動産の譲渡所得特例
生活用動産とは、日常生活に必要とされる財産のことで、不動産以外の物を指します。例えば、衣類やカバンや靴や家具や家電や雑貨や書籍やゲームなどが生活用動産にあたります。
生活用動産の売却による所得は非課税とされる場合があります2。非課税となる条件は以下の通りです。
- 個人が自分自身や家族のために使用していたものであること
- 営利目的ではなく生活必需品を整理する目的で売却したこと
- 売却した物品が宝石や貴金属や骨董品や書画や美術品などではなく、一般的な生活用品であること
- 売却した物品1つあたりの売却益(売却価格から購入価格を引いたもの)が30万円以下であること
これらの条件を満たす場合は、年間20万円を超えても確定申告や納税の必要はありません。
中小企業等経営強化法等特別措置法第8条第1項第1号及び第2号適用事業者等から譲渡された中小企業等経営強化法等特別措置法第8条第1項第1号及び第2号適用事業者等株式等(以下「中小企業等経営強化法等特別措置法株式等」という)譲渡所得控除
中小企業等経営強化法等特別措置法株式等とは、中小企業等経営強化法等特別措置法(平成22年法律第52号)第8条第1項第1号及び第2号適用事業者等から譲渡された株式または出資持分(以下「株式等」という)のことです。これらの株式等を売却して得た所得は、一定の条件を満たす場合には控除の対象となります。
控除の対象となる条件は以下の通りです。
- 売却した株式等が、令和4年1月1日から令和6年12月31日までの間に取得されたものであること
- 売却した株式等が、取得後2年以上保有されていたこと
- 売却した株式等が、令和4年1月1日から令和6年12月31日までの間に売却されたこと
- 売却した株式等が、中小企業等経営強化法等特別措置法第8条第1項第1号及び第2号適用事業者等から譲渡されたものであること
- 売却した株式等が、中小企業等経営強化法等特別措置法第8条第1項第1号及び第2号適用事業者等以外の者に譲渡されたこと
これらの条件を満たす場合は、売却益(売却価格から取得価格を引いたもの)のうち500万円以下の部分は非課税となります。ただし、非課税となる部分は、令和4年1月1日から令和6年12月31日までの間に売却した株式等について合計して500万円以下となります。
確定申告する際には、「譲渡所得計算表」に必要事項を記入し、「確定申告書」に添付して提出します。その際、「譲渡所得計算表」には非課税部分も記入します。これは、非課税部分が500万円以下であることを証明するためです。
譲渡損失控除
買取によって得た所得が譲渡損失(売却価格が取得価格よりも低い場合)である場合は、その損失額を他の所得から控除することができます。この控除を譲渡損失控除といいます。
譲渡損失控除を受ける条件は以下の通りです。
- 譲渡損失が生じた物品が、生活用動産以外の物であること
- 譲渡損失が生じた物品が、個人事業者や法人などから購入したものであること
- 譲渡損失が生じた物品が、購入後3年以内に売却されたものであること
これらの条件を満たす場合は、譲渡損失額を他の所得から控除することができます。ただし、控除できる額は年間50万円以下となります。
確定申告する際には、「譲渡所得計算表」に必要事項を記入し、「確定申告書」に添付して提出します。その際、「譲渡所得計算表」には譲渡損失額や他の所得額も記入します。これは、譲渡損失控除額を計算するためです。